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【完成】 90年代初頭、私もまだ若かったのでよく出入りの単車屋で大将と話込んでいた。 その時によく聞いたのは「400のカタナはダメだ。売れてもすぐ下取りに出される」と言う。理由を尋ねると、どうやら「走らないから」と言う理由らしい。発売当初から400はナマクラ刀だと言う事をチラホラ聞いてはいた。 十数年の時を経て、今回購入に至り最初に乗った時は「なるほど」と思わざるを得なかった。当時の資料を探してみてスズキ広報の言い分は「ボア×ストローク、トルク、排気音にまでこだわった」とある。 残念ながら、その一方的な開発者の意図は買い手には伝わらなかったようだ。 確かに80年代終盤のGSX−R、CBR、VFR等から買い換えれば、なんの軽快性もない上に回らないエンジンではさぞかし落胆した事だろう。この刀を鍛え直す技能を有しないユーザーは買い替えしか無いのかも知れない。 デチューンされていれば本来の性能を引き出してやればいい。私は今回、減速比と吸排気のセッティングにはやたらとこだわった。 触り始めの頃は、何か参考になるかと思いインターネットで色々探ったが無理だった。そもそもマフラーは単なるアフターパーツで付けたら終わりでは無く、ひとつのセッティングパーツであるので吸気やエンジンとのバランスで色々自分で加工するといった思想は浸透していないようだ。 例外はスーパートラップ愛用者だろうか・・・ 結局、当初はそこまでする予定では無かったのだが、行きがかり上かなりのハイギアで6000rpm以下のトルクを切り捨てて、13000rpmまでトルクのタレない高回転の男気溢れるマシンとなった(なってしまった)。自然吸気エンジンの場合おおよそのトルク値が最初から決まってる以上こうする他ないのだが。 今回のトルク特性は初期の頃の排気デバイスが付いた2st250くらいだと言えば、年のいった方なら理解して貰えるだろう。つまりこれ以上攻め込むと、さらに以前の排気デバイス無し2stのようになるので、普通に乗れるギリギリの線引きと言ったところか。 これが正しいかどうかは別問題として(と言うより、いい歳して自分が社会的に正しく無い行為に及んでいる事は理解している)、全くの私見であるがエンジンの最大出力は記された値ではなく、体感に尽きると私は常々思っている。 後期のホンダVT系は35馬力程にまでデチューンされていて、体感的にはやるせなくなる程に鈍いのだが、同じ35馬力でも初期型RZの振り絞って出した35馬力は50馬力くらい出てるんでないかと錯覚する程に速く感じる。 デチューンされたものに対し振り絞ったものは、トルク特性がピーキーになりがちなのでそう錯覚するだけなのかも知れない。が、どうせ乗るなら楽しい方がいいのではないかと思う。 さらに付け加えれば、フラットな特性を楽しむのであればヤマハSRのように極端にそれに的を絞れば良いとも思う。(心情的には未だ私は空冷単気筒マニア) スズキGSX400Sカタナ 極力ノーマルパーツ使用 最大出力:不明 最高速度:追走のリッターバイクでメーター計測約235km/h (これ以上は耐えられんのよ、車体が。まっすぐすら走れない) <戻る 次ぎ> |