![]() ![]() 不思議な速さを誇ったCBX |
もう随分昔の話であるが、私が免許を取得して最初に購入したのがホンダ・CBX250Sだった。
SOHC空冷単気筒、球形燃焼室の4バルブエンジンでたしか28PS。当時は学生だった為、改造費もそれほど捻出できず、マフラー変更と燃料調整だけで乗っていた。
そんな小改造だけだったがCBXは125ccの車体を活かし、俊足で最高速度はメーター読みで180Km/h以上に達した。
今思えば、シングルカムの単気筒にしては驚異的な性能のCBXだったが、当時の私は”180以上出るな♪125の車体だから当然かもなー”くらいにしか思わずその凄さを理解してはいなかった。6速ホールドで12000rpm回る単気筒である。その後、80年代終盤での二輪車を取り巻く環境は異常で、中型二輪車がメーター読みで200km/hを越えるのは当たり前の状況な為、買い換えるたびに大して性能の高くない単車としてCBXは記憶の片隅へと追いやられた。私が30歳を超えたあたりで、単車を降りる気は無かったが、楽な単車に買い換えようと思いたち新車の250を購入する。Volty−TypeUである。当然のようにCBXのような俊敏な軽量車と思い購入した。慣らし運転中に既に”なんだこりゃ!?”と思い始めていた。何故なら回転の上がり方が異常に重いのである。CBXの2気筒と区別がつかないほどのレスポンスはまるでない。その後、少々の改造を重ねたが最高速度は瞬間的に150km/hあたりが限界のようだ。それ以前にナンチャッテアメリカンベースの車体は130km/hあたりから踊り始める高速での直進安定性の無さである。で、ダメかと言えばそうでもない。むしろ、乗れば乗るほど気に入ってくるのである。いままで乗り換えてきた単車と違い、時速70キロで流していても楽しい単車である。飛ばすことなくトルクを楽しむ、これが本来の空冷単気筒だろうと思う。無論、ホンダの高性能空冷単気筒もあれはあれで正しいと思うし、機械的に見ればあちらの方が正解だと思う。誰もが正しい機械を求めている訳ではない為か、残念な事に現在はホンダ250cc単気筒ロードスポーツ車は絶滅してしまったようだが。 |